直交する円柱が作る立体とその体積(小6算数)

今回の記事のきっかけは次のツイートである.
https://twitter.com/ShinichirohM/status/250578806367211520

…(略)… 小六のときの夏期講習で,垂直に交わる円柱の共通部分の体積を算数で(!!)解いたのが忘れられない.でも,どうやって解いたのかは忘れた.どうやったら算数で解けるんだろうか.

中学入試の数学ではこのような問題にはカヴァリエリの原理を使えと説明されていることが多い.微積分の言葉を使ってカヴァリエリの原理を説明すれば次のようになる.

空間中の立体を{A}とする.空間直線L上を座標軸に取り,点{x}でLと垂直に交わる平面による立体{A}の切断面の面積を{S(x)}とするとき,{A}の体積{V}は次のように表される:
{\displaystyle V = \int S(x) dx.}

この様に述べれば,カヴァリエリの原理という名前自体を聞いた覚えがない人でも,高校の微積分の授業でこの原理に基づいて体積を求めた事があるのを思い出すかもしれない.このような,「わかってしまえば当たり前」の事柄にカヴァリエリの原理などと大げさな名前をつけるのもどうかという印象を持つ方もいるかもしれないが,このカヴァリエリの原理は,微積分が確立する前に生み出された方法である.そして,このような考え自体が微積分の誕生を促した面もあるらしい.参考までにカヴァリエリ,ライプニッツ,ニュートンの生没年を列挙する:

B. Cavalieri(1598-1647)
G. W. Leibnitz(1646-1716)
I. Newton(1642-1727)

さて,カヴァリエリの原理の重要な帰結は,二つの立体{X_1}{X_2}に対して,{L}上の点{x}における切断面の面積{S_1(x)}{S_2(x)}が等しい場合,つまり
{\displaystyle S_1(x) = S_2(x)\enskip(\forall x)}
のとき,二つの立体{X_1}{X_2}は等しくなるということである.これを利用すれば,一見複雑に思える立体の体積を,断面積が等しい別の立体図形の体積に帰着して求める事ができる場合がある.

二つの直交する円柱とその共通部分

図1

表題の問題をこの原理で解いてみよう.直交する円柱は,短径と長径の比が{1:\sqrt{2}}であるような楕円を二つ生み出す.
(2018/07/05 付記:この部分の説明がわかりにくいと指摘を受けた.記事末尾で補う.)この二つの楕円を稜線として,アーモンド状の面を丸めた様な曲面が四つ形成される.この四つの曲面が囲む領域が問題となっている立体である.この立体を,二つの円柱の中心線がなす平面と平行な面でスライスすると常に正方形が現れることに注目する.

直交する円柱の共通部分の体積をカヴァリエリの原理で求める方法の図示

図2

二つの円柱の中心線がなす平面で立体を等分割して得られる,「膨らんだ四角錐」の体積を求めることにする. 簡単な考察により,立体の底面から伸びる垂線上の座標{x}に対して,{x}を通る水平切断面の面積{S_1(x)}
{\displaystyle S_1(x) = (2R)^2 - (2x)^2 \quad(0 \le x \le R)}
となる. 一方,底面を{2R\times 2R}の正方形とする高さ{R}の角柱から「四角錐を取り除いて」得られる立体を考え,同様にこの物体の水平切断面の面積{S_2(x)}を考えると
{\displaystyle S_2(x) = (2R)^2 - (2x)^2 \quad(0 \le x \le R)}
となる. したがって,左の物体の体積と右の物体の体積はカヴァリエリの原理により一致し,
{\displaystyle V/2 = } 角柱の体積 {\displaystyle -} 四角錐の体積
{\displaystyle = 4R^3 - (4R^3)/3 = 8R^3/3.}
{\displaystyle \therefore V = 16R^3/3.}
このようにして,錐体の体積を求める公式を知っていれば,小学六年生でもこの立体の体積を求めることができる.

カヴァリエリの原理で球の体積を求める方法

図3

全く同様にして,カヴァリエリの原理により,半球の体積を「円柱から円錐を引いた図形」の体積に帰着させて求める事ができる.これについては図を掲げるだけにし,説明を省略する.

■付記:2018/07/05
直径を同じくする二つの円柱が直交するように(互いを貫いて)置かれている状況を立体的に把握するのは少し難しいようだ.適当な材料を使って工作しても良いし,計算によって理解しても良い.ここでは次のような図で説明してみよう:
B1

交差する二円柱を「上から」見下ろしたとき,バッテン状に直交する二直線が見える.二つの円柱の直径が違う場合には中心付近に浮かぶ線は曲がっているので,これは少し意外な感じがするかもしれない.
B2

二つの円柱の共通部分の稜線は,円柱に斜め十字に刻み目を入れたときの切断面になっている.
円柱は45度の角度で刻み目を入れられているから,短径と長径の比が{1:\sqrt{2}}であるような楕円となるわけだ.二つの切断面は互いに直交しているから楕円と楕円を交差させたようなものが求める立体の「骨組み」になっている.この骨組みに沿って面が貼られているが,この貼られた面は円柱の一部なので曲面としては単純である.

この面を平面に広げるとアーモンド形(?)になることは,工作によって確かめてもよいが次のように考えれば簡単な三角関数の問題である.まず,一つの円柱の方程式を{x^2+y^2=1} としよう.{z}については条件を課していないので,この円柱はz方向に無限に伸びている.これを平面{z=\pm x}で切り取ってみる.円柱とこれらの平面の交わるところを切り開きたいので円柱のx軸を起点として測った角度{\theta}を用いて{x = \cos \theta, y = \sin \theta}と表してみると{z=\pm \cos\theta}となる.よってこんな形になる:
B6

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