vacuous truth

たまにこの言葉を思い出せなくてググってるので自分用メモ.

(ここに来た他人用の説明):条件式(A⇒B)のAを「前件」と,そしてBを「後件」と言うのであった.前件が偽ならば後件に何を置いても条件式全体は真と評価される.このような場合に条件式が真になることを特に “vacuous truth” と呼ぶことがある.(決まった訳語はないらしい).古典論理のなかで,入門者を少しばかり悩ませる話題として有名である.

古典論理における条件式は時相のような微妙なニュアンスを含んでいないので日常言語における条件文とそのまま同一視することはできないが,日常言語でも前件として「絶対に起こらない(であろうと思われる)」ことを置いて何かを言うことがある.少し前の話題だがマスコミ各社が「トランプが大統領になるはずがない」と報じていたときに,「トランプが大統領になったら全裸で街を歩く」といった類のツイートしている人たちがいた.前件が絶対に偽だ(とそのときには思われていた)から後件にどんなヤバいことを書いても平気というわけである.

もう一つの「納得方法」として,条件式(A⇒B)を「(Aであって(Bではない))ということはありえない」と言い換えるというものがある.これを論理式で置き換えれば(¬(A∧(¬B)))ということになる.さらに de Morgan を使えばこれは((¬A)∨B) と書き換えられる.この言い換えと置き換えに納得が行くならば,「Aが成り立たない」場合の(A⇒B)の真理表を書いたとき,BがTであってもFであっても
     ((¬F)∨B) = (T ∨ B) = T
となるからvacuous truth も受け入れるべきだということになる.

集合論においても vacuous truth が活躍する場面がある.空集合にはいかなる集合も含まれない.よって,
    {a \in \varnothing}
と書いただけで({a}がなんであれ)偽になる.よって,
    {\forall a \enskip (a \in \varnothing \Rightarrow P(a)).}
という文は任意の述語{P()}について正しい.任意の述語を入れて良いのだから{P()}の代わりにその否定{\neg P()}を入れても良いわけである.よって
    {\forall a \enskip (a \in \varnothing \Rightarrow \neg P(a)).}
つまり,「空集合の任意の要素はいかなる性質をも持ち得る」ということになる.少し騙されたような気持ちになるが,帰納的に構成された集合の列についての命題を証明しようとするときの最初のステップなどでこのような vacuous truth が有効に活用されることもある.

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