TL;DR: LaTeXからのPDF生成は,Makefile などを使って自動化しましょう
背景:LaTeXを使って多少学術っぽい文書を書いていると参考文献をつけたくなります.一つの分野を数年以上勉強していると,参考文献のデータなども使いまわしたくなることでしょう.このようなときに bibtex という仕組みが用意されており,texlive を導入すると自動的にこのツールもインストールされます.(bibtex がなにかとか,*.bib ファイルの書き方については各自 chat AI にでも聞いてください.)しかしながら,普通にPDFを生成するだけでは bibtex が呼ばれません.そして,呼ぶのを忘れてPDFを生成すると,\cite{} で指定した参考文献へのリンクがすべて[?]になってしまうという恥ずかしいことになります.
解決法:「何かをするまえに必ずチェックしなければならないこと」に対する対策は昔から知られています.「ルーチン化」と「自動化」です.ルーチン化は,たとえば特定の作業のための定形チェックリストを用意して,一人が「ロボットの電源遮断,よーし」と口に出しながらチェックマークを入れ,もう一人がそれを確認する,というような手順です.作業そのものが危険だったり,確認を怠ると人命や多額の損害が発生する場面ではこのようなことをします.まあ今回はその話ではありません.今回話したいのは自動化です.多人数で編集する本格的な文書の場合はCIツールなどを使うのでしょうが,個人レベルでは例えば次のようなMakefileを使うということが考えられます:
.PHONY : build
build : myTexFile.tex reference.bib
mkdir -p cluts
cp -f reference.bib cluts
cluttex --engine=lualatex --bibtex='upbibtex -kanji=utf8' --output-directory='./cluts' -o output.pdf -- myTexFile.tex
唐突に cluttex というコマンドが出てきましたが,これも texlive に収録されたツールで,コンパイル時に生成される aux だの log だのというファイルを一箇所にまとめてくれます.詳しいことは cluttex --help
などして調べてください.